令和3年第1回定例会 一般質問 小菅千保子


令和3年第1回定例会 一般質問 小菅千保子

一 SDGs目標13(※)脱炭素社会について

次の2点について、区長の所見を伺う。

①近年、地球温暖化が原因と思われる異常気象などが課題となっており、国は昨年10月に2050年までに温室効果ガス排出量「実質ゼロ」を表明し、国会では、11月に「気候非常事態宣言」を決議している。
自治体においても「SDGs目標13」の観点から、世代を超えて学び、行動発信をしていく必要があると考える。
そこで、国の温室効果ガス排出量「実質ゼロ」の取り組みを進めるとともに、環境分野の創業や新たな雇用創出を図るためにも、人材を育成する「(仮称)ダイバーシティ青年会議」の設置が必要と考えるが、どうか。

②プラスチックごみの問題については、二酸化炭素の排出量や最終処分場の状況からも、喫緊の課題である。
国は、「プラスチック資源循環戦略」に基づき、2030年までに使い捨てプラスチック製品の排出量25%抑制を目標としている。
そこで、本区においても、プラスチックごみの回収を早期に開始すべきと考えるが、どうか。

※SDGs目標12:つくる責任、つかう責任
「持続可能な消費と生産のパターンを確保する」
※SDGs目標13:気候変動に具体的な対策を
「気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る」
※SDGs目標14:海の豊かさを守ろう
「海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する」

【区長答弁】

小菅委員のご質問にお答えいたします。
ご質問の第一は、脱炭素社会についてです。
まず、自治体の取組みについてです。私も、社会と生活を維持しながら、地球環境問題を克服していくため、環境保全と経済成長が両立した持続可能な発展を目指した、脱炭素社会を実現する必要があると考えています。
区では、昨年3月に「台東区環境基本計画」を策定し、温室効果ガスの削減目標を定めましたが、国の温室効果ガス排出量を実質ゼロにする方針を踏まえ、新たな目標について検討を進めて参ります。
これまで区では、「環境フェスタ」を開催し、環境行動の促進や意識啓発を行うとともに、小学生が大人とともに環境について学ぶ「こども環境委員会」を実施し、長年にわたり未来のエコリーダーを目指す人材育成に取り組んできました。
議員ご提案の「仮称ダイバーシティ青年会議」については、これらの活動とあわせ、国や環境に関連する団体などの情報を収集しながら、検討して参ります。

次に、プラスチックごみについてです。
脱炭素社会に向け、環境負荷の低減に寄与することからも、プラスチックごみの資源化を推進することが重要であると認識をしています。
本年3月に策定する「台東区一般廃棄物処理基本計画」においても、重点的取組みとして位置付けています。
プラスチックごみの資源化については、国の法整備の状況を注視するとともに、効率的な収集・運搬体制や、選別・保管を行う処理ルートの構築、区民の皆様にとって分かりやすい周知など、円滑な事業の実施に向け、検討して参ります。

二 SDGs目標1(※)「断らない相談」窓口の設置による包括的支援体制の構築について

個人が抱える課題の複雑化・複合化により、対応する区の所管が複数にまたがり、区民もどこに相談すべきか困るケースが多くなっていると感じる。
国は、社会福祉法の改正を受け、区市町村に対して「断らない相談」窓口の設置を促しているところである。
そこで、本区においても、多様な機関との連携を強化するなど、「断らない相談」窓口の設置による「包括的な支援体制(※)」を構築すべきと考えるがどうか、区長の所見を伺う。

※ SDGs目標1:貧困をなくそう
「あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ」

※ 包括的な支援体制
地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応するため、区市町村が行う、➀包括的な相談支援②参加支援③地域づくりに向けた支援事業のこと。令和3年4月に施行される改正「社会福祉法」において、区市町村の努力義務事業とされた。

【区長答弁】

ご質問の第二は、「断らない相談」窓口の設置による包括的支援体制の構築についてです。
現在、区では、介護や生活困窮者支援などの様々な相談業務において、支援を必要とする方の状況を丁寧に伺うことで、実態を把握するとともに、適切な支援につなげるよう努めています。
「断らない相談」については、国において検討が行われ、世代等を問わず相談を受け止める相談支援事業をはじめとした「包括的な支援体制」を区市町村が整備するよう努めるものと、本年4月に施行される「改正社会福祉法」で規定されています。
区においても、議員ご提案の多様な機関との連携強化等を含め、来年度策定する「台東区地域福祉計画」において、検討して参ります。

三 SDGs目標11(※)セーフティネット住宅の家賃低廉化制度について

本区に住み続けたいと願う区民にとって、「住まい」は生活の根幹である。
本区に住み続けたいと願う区民のために、セーフティネット住宅の家賃低廉化制度の導入に取り組むべきと考えるがどうか、区長の所見を伺う。

※SDGs目標11:住み続けられるまちづくりを
「都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靭かつ持続可能にする」

【区長答弁】

ご質問の第三は、セーフティネット住宅の家賃低廉化制度についてです。
セーフティネット住宅には、高齢者等の住宅確保要配慮者の入居を拒まない「登録住宅」と、住宅確保要配慮者のみが入居可能な「専用住宅」の2種類があり、家賃低廉化補助等を受けることができるのは「専用住宅」のみとなっています。
「専用住宅」は、不動産事業者や物件オーナーが通常得られる更新手数料や礼金が得られないなどの課題があり、登録が進んでいないのが現状です。
既に家賃低廉化制度を導入している他区においても「専用住宅」の数が少なく、実績が上がりにくいという実情から、特別区長会から国に対し、要件の緩和を求める提案を行っています。
家賃低廉化制度を導入するためには、より活用しやすい制度となるよう国に求めていくことが必要であり、今後も引き続き働きかけて参ります。

四 SDGs目標1&8(※)女性・非正規労働者の就労支援について

女性・非正規労働者については、国や東京都から様々な支援策が打ち出されているが、各法律に基づいた縦割りではなく、就労支援と福祉が一体となり、就労のことで苦しんでいる方々へ速やかに支援策が行き届くようにするべきである。
そこで、誰一人取り残さないよう、就労を希望する方への情報提供や、支援制度の拡充、体制の整備などに、取り組むべきと考えるがどうか、区長の所見を伺う。

※SDGs目標8:働きがいも経済成長も
「すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する。」

【区長答弁】

ご質問の第四は、就労支援についてです。新型コロナウイルス感染症の拡大は、
パート・アルバイトなどの非正規雇用で働く方にも深刻な影響を及ぼしています。
区では、これまでも、それぞれの就労課題に関する支援事業を実施するとともに、ハローワークや労働相談情報センターとも連携し、相談者に応じた情報提供と相談支援に努めています。
コロナ禍の影響を受け、国では、休業支援金・給付金事業を実施しているほか、東京都でも、早期再就職緊急支援事業など職を失った方を対象とした様々な支援を実施しています。
就労については、迅速な対応が必要であり、生活支援情報と一体となった就労情報の発信ができるよう工夫するとともに、区の各窓口とハローワークなどの関係機関との連携を一層密にし、一人ひとりが目指す就労につながるよう、全力で支援して参ります。

五 SDGs目標3(※)糖尿病重症化予防について

本区では、国民健康保険加入者に対し、糖尿病の重症化予防事業を実施している。
今般、糖尿病が新型コロナウイルス感染症のワクチン優先接種の対象となる基礎疾患に位置付けられるなど、糖尿病患者の重症化リスクが注目されている。
そこで、次の3点について、区長の所見を伺う。

①特定健診の結果が糖尿病の判定値に該当する方や治療中断者への受診勧奨は、現在、どのように行っているのか。
また、受診の状況はどう改善したのか、併せて伺う。

② 糖尿病歴があり、健診を受けていない治療中断者への受診勧奨は行っているのか。

③ 治療中断期間が長いと重症化リスクが高まる。
そこで、治療中断者への受診勧奨を過去5年間のレセプトデータを活用し、拡充すべきではないか。

※SDGs目標3:すべての人に健康と福祉を
「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」

【区長答弁】

ご質問の第五は、糖尿病重症化予防についてです。
区では、国民健康保険加入者を対象に、糖尿病にかかる未受診者対策及び重症化予防について、データヘルス計画に位置付け、令和元年度から実施しています。
まず、現在の治療中断者等への受診勧奨の方法と受診の状況についてです。
特定健康診査の結果から対象者を把握し、最大で4回の通知と電話による勧奨を行っています。
その結果、令和元年度は、勧奨対象者のうち、約半数の方について医療機関への受診が確認できたところです。
次に、健診を受診していない治療中断者への受診勧奨及びその拡充についてです。
現在は、健診受診者を対象としておりますが、治療中断者は重症化リスクが高く、医療機関の受診につなげる必要性はより高いと認識をしています。
議員ご提案の過去5年間のレセプトデータの活用を含め、拡充について関係機関と協議し、検討して参ります。