平成27年決算特別委員会 総括質問 10月20日


007-1

小坂 義久 議員

  1. 産業について
  2. 認知症高齢者の支援について
  3. 特色ある学校教育の推進及び指導課訪問について

1.産業について

Q.①
中小企業を取り巻く最近の経済状況は大きく変化し、事業所数や従業員数が減少するなど、地域経済の活力低下は否めない状況である。そこで、本区の産業全般に対する現状と課題について伺う。

A.①【区長答弁】
中小企業や小規模事業者が多い本区の産業については、最近の中国経済の減速や環太平洋パートナーシップ(TPP)協定などの社会経済状況の変化により、景気の先行きに不透明感が高まっており、依然として厳しい経営環境が続いているものと認識している。
こうした中、景気回復に向けた中小企業対策は、区政として取り組むべき重要な課題である。個々の事業者が抱える課題に対し、きめ細かく対応する「ビジネス支援ネットワーク」の構築や、販路開拓と台東区ブランドを内外に発信することを目指す産業フェア開催の検討、商店街振興などに取り組み、本区の持つ産業集積の魅力を一層向上させていくことが重要であると考える。

Q.②
これまでの一律的な商店街振興策を見直し、近隣型商店街、広域型商店街、観光型商店街など、各商店街の特色を活かした振興策を検討すべきと考えるが、どうか。

A.②【区長答弁】
近隣型商店街での空き店舗対策や、広域型・観光型商店街での観光客対策、防犯対策など、商店街により様々な課題があることは認識している。
区ではこれまでも、イベント事業や施設整備等、商店街の特色や個性を活かした取り組みに対して様々な支援を行い、活性化を図ってきた。さらに、今年度より、環境対策として街路灯LED化やドライミストの設置、外国人観光客対応として、外国語マップやホームページ作成等、商店街の新たなニーズや課題に対応した支援に取り組んでいる。
引き続き、商店街のニーズや課題の把握に努めながら、意欲ある商店街に対する支援を、積極的に実施していく。

Q.③
縦割り行政を打開して、商店街の空き店舗などを活用した子育て支援や、高齢者の交流施設を整備するなど商店街が地域のコミュニティ交流エリアとして寄与できる環境整備を図るべきと考えるが、どうか。

A.③【区長答弁】
空き店舗については、利便性の低下など様々な影響があることから、大きな課題であると認識をしており、区では、空き店舗を活用する事業者への家賃支援を行っている。
また、商店街が空き店舗を活用する場合にも支援を行っているが、継続した運営が難しいことなどからなかなか広がらない状況。
今後は、他区の先駆的事例や委員ご指摘の趣旨も踏まえ、商店街が地域のコミュニティ交流エリアとして寄与できるような環境整備について、多角的に進めていく。
引き続き、商店街のニーズや課題の把握に努めながら、意欲ある商店街に対する支援を、積極的に実施していく。

Q.④
平成26年に公布・施行された小規模企業振興基本法に基づき、国が策定した基本計画の趣旨を踏まえ本区としても具体的な施策を検討すべきと考えるが、どうか。

A.④【区長答弁】
小規模企業への支援については、昨年制定された「小規模企振興基本法」に基づき、国の施策を定めた基本計画を踏まえて、小規模企業の持続的発展を目指した、区の振興施策を策定するものとされている。そのため、来年度に改定する「産業振興プラン」に、法に基づく基本計画の趣旨を踏まえ、起業・創業支援や人材の確保・育成など、具体的な施策を位置づけ、小規模企業の円滑かつ着実な事業運営を適切に支援していく。

2.認知症高齢者の支援について

Q.①
本区の認知症に対する現状と見解について伺う。

A.①【区長答弁】
本区においても、高齢化の進展に伴い、認知症のため社会生活が困難となったり、家庭や地域で問題を抱えてしまう方が増えており、今後その対策は非常に重要であると考える。

Q.②
認知症支援コーディネーターの配置による事業効果と認知症高齢者支援の課題について伺う。

A.②【区長答弁】
区では、保健師の資格を持つ「認知症支援コーディネーター」を配置することで、家族・介護事業者からの相談や認知症の疑いのある方への訪問等、個々の状況に応じたきめ細かな対応が可能となっている。
現状の課題は、認知症がかなり進行してから相談される方が多く、早期発見につながっていないことと考える。

Q.③
知症サポーター養成講座により、どのように資質の向上が図られたのか。

A.③【区長答弁】
養成講座の実施を通じて、認知症の理解を深めることにより、認知症の方やその家族に対する見守りが着実に広がっていると考えている。
また、さらなる資質向上を目指し、養成講座の受講修了者を対象としたフォローアップ講座や、認知症高齢者声かけ訓練を実施している。
今後も認知症の方と家族が地域で安心して生活できるよう、関係機関と連携しながら適切な支援を推進していく。

Q.④
認知症高齢者の支援のみならず、地域における一体的なケア体制づくりは急務である。そこで、医療や介護、住まいなど、多岐にわたる相談に応じる地域包括ケアシステムの構築を、中核となって進める所管組織が新たに必要と考えるが、どうか。

A.④【区長答弁】
本システムの構築に向けては、医療や介護、住まいなどの多岐にわたるサービスを、切れ目なく、一体的に提供するための仕組みづくりを進める必要がある。
本区では、本年3月に策定した「第6期高齢者保健福祉計画」を、地域包括ケアシステム構築のための具体的な仕組みづくりを開始する計画として位置づけ、地域包括支援センターの体制強化や新総合事業への移行準備に取り組んでいる。
今後、福祉・健康施策のみならず、関連する様々な分野における施策を総合的に推進するための体制づくりの中で、委員ご提案の中核的役割を担う組織についても、検討していく。

3.特色ある学校教育の推進及び指導課訪問について

Q.①
校務事務の改善については、学校の努力だけでは難しく、本区の範疇でも困難と認識しているが、経済協力開発機構や文部科学省の校務負担の調査結果をどのように受け止めているか。また、本区の実態と対策について、併せて伺う。

A.①【教育長答弁】
経済協力開発機構の調査では、一週間の勤務時間は、加盟国平均38.3時間に対し、日本は53.9時間と最長で、授業時間よりも部活動などの課外活動の指導や事務作業等に充てる時間が多くなっているとの報告がある。
本区においても同様の傾向があり、子供と向き合う時間を確保する対策として、平成23年度より校務事務支援システムを区立小中学校全校で本格稼働し、システムによる成績処理や通知表作成等を開始した。その結果、一日平均小学校では56分、中学校では76分の事務時間が退縮された。
教育委員会としては、各種統計調査や報告書作成等の事務を見直し、システムを有効に活用した一層の簡素化・省力化を進め、教員が本来の教育に専念できる環境をさらに整えてまいりたいと考えている。

Q.②
外国人英語指導助手(ALT)の活用については、英語力の育成とともに総合的な表現力、国際的なコミュニケーション能力の高まりを目指すために教育現場で工夫・改善を図る必要があると考えるが、どうか。

A.②【教育長答弁】
ALTが指導することにより、英語の発音や自分の思いを伝えるスピーチの能力や、リスニングの能力は確実に向上している。
さらに、実践的な活動として、ALT同行のもと、雷門周辺や上野公園での外国人観光客へのインタビューや外国の方々に台東区の良さを伝える活動等に取り組んでいる。
こうした活動は、英語力を高め、生きた英語に触れる絶好の機会になると考えており、今後も各学校の特色を活かした英語教育を推進するよう指導していく。

Q.③
子供たちの区政に対する関心を高めるためにも「子ども議会」を実施すべきと考えるが、どうか。
また、区議会会期中の本会議などを子供達に傍聴させてはどうか、併せて伺う。

A.③【教育長答弁】
公職選挙法が改正され、より小中学校段階から、政治や選挙に関係する教育が重視されてきた。現在学校では、ICT機器を活用して国会審議の様子を学習させることや、国会議事堂の見学等を行っている。また、子供同士で討議するといった発展的な活動にも、取り組んでいる。
教育委員会として、これらの学習や、子供のディベート力の育成にも「子ども議会」が有効な手段の一つであると考えている。また、本会議場の見学についても検討していく。

Q.④
指導課訪問は学校・園と教育委員会の連携を図る目的で行われているが、学校・園の課題は何か。
また、その解決のためにどのようなことをしたか、併せて伺う。

A.④【教育長答弁】
指導課訪問は、指導課長や指導主事が学校・園を訪問し、各校・園の課題や取組みを具体的に把握する重要な機会であり、校・園長の経営支援や授業力向上等を目的としている。
全ての学校・園を計画的に訪問し、校・園長より学校経営上の課題の聞き取りを行い、具体的な指導・助言をしている。
また、若手教員をはじめとした授業力の向上という課題に対し、全教員の授業を観察するとともに、個々の教員の実態に応じた指導も行っている。
今後も指導課訪問により、各校・園の課題波悪を十分に行うとともに、指導に努めていく。