台東区議会公明党の松尾のぶこです。
会派を代表し、大きく5点に渡り、一般質問させていただきます。
服部区長におかれましては、ぜひ、前向きなご答弁いただけますよう心よりお願いいたします。
- まず、1点目に、女性のがん予防対策についてお伺いいたします。
これまでも何人かの議員から女性のがん予防対策について、一般質問の折などに触れられてきましたが、昨今、日本では、1年間に約2万人が子宮頸がんに罹患し、およそ3,500人が命を落としています。1年間に手術を受けられている女性は約1万9千人と年々上昇傾向にあります。また発症年齢は年々若年化し20代に急増しています。
今では出産適齢期と重なっていますが、20代30代の健診受診率が低いことから、妊娠検査時に浸潤ガンとして発見されることも稀ではありません。
子宮頸がんの原因ウイルスは約100種のヒトパピローマウイルスいわゆるHPVであるとの報告がなされていますが、日本では20代から40代の浸潤ガンの約80%がHPV16型と18型で、子宮頸がんの中の腺がんの主な原因としてわかっており、近年増加の一途をたどり、がん化の進行の速さと感染率の高さで若い世代の命と子宮を脅かしているということです。
子宮頸がん治療と後遺症は、罹患した方にとって心と体に大変な負担をかけるものであります。20代から30代女性への子宮頸がん予防対策は、喫緊の課題であります。
子宮頸がんを制圧していくには、やはり検診未受診をなくしていくこと、そして、質の高い検診を導入・実施していくことが必要であると考えます。
目指していくべきは、検診受診率を欧米並みの80%以上とし、現在実施されている、細胞診検査の折にHPV検査を併用し、効率的な子宮頸がん検診を実施することだと考えます。
従来の、細胞診で採取した検体を用いてHPV検査ができるので追加の検体採取がいらず、女性にとって受診の負担が軽減されます。そして検査の精度が向上し前がん状態の病変を確実に発見し予防が可能となります。
併用検診(細胞診とHPV検査)で陰性であれば毎年検診する必要が無くなり、次回は3年後に実施することが、日本産婦人科医会の検診レコメンデーションで推奨されています。3年に一度で済むので、受診する女性にとって精神的・肉体的、また時間的なストレスから解放されることになります。
HPV検査との併用により、20代から30代女性の受診率がアップし、また、検診精度向上から検診期間が延長できると約8割の女性の検診が3年間隔となり大幅に検診費用が削減されます。ひいては浸潤ガン減少が可能になると医療費の削減が期待され、費用対効果向上にもつながると考えます。
一方、子宮体がん発症は、50代に多くみられます。発症原因も、女性ホルモンのバランスにあり子宮頸がんとは異なります。それぞれのがんによって、発症の年代が違うので、検診に有効な年代時期も見直す必要があるということです。
乳がんに関しても、現在の触診検査方法が見直される方向へ来ているところですが、以前40代で乳がんを発症し現在治療中の方から直接お話をうかがいました。
その方は、はじめ胸に違和があることから医療機関を受診しましたが、マンモ検査ではがん細胞は発見されませんでした。しかしその後3か月ほどして別の医療機関でセカンドオピニオンを受け、そこで、超音波検査によって初めてがんであることがわかりました。そのことから、ぜひ、超音波検査の導入をして頂き、少しでも早く治療に入れるようにしてほしいとのことでした。
この場合もやはり年代にもよると思いますが、どのような検査を受けるかが異なってくると考えられます。
現在のマンモ検査に加え、超音波検査をすることにより、検査の精度を上げ、早期発見の一助になりうると考えます。
現在区でも、女性のがん検診の中で、無料クーポンを発行して、平日検査が受けられない方のために土曜日曜にも検診日を設け、女性のがん予防対策に力を入れて頂いています。
しかしながら、まだまだ検診率は低い状況にあり、休日受診の可能な施設の詳細が分かりづらく、受診の利便性を考えると今一度の周知が必要だと感じます。
がん予防対策には、やはり、受診率を上げていく細やかな方策が重要であるということは、言うまでもありません。
そこで区長に3点お伺いいたします。
ひとつには、子宮頸がん予防のため、特に20代から30代女性に対して、現在行われている細胞診検診とともに、HPV検査を併用実施することが有効と考えますが、区長のご所見を伺います。
また、乳がん検診に超音波検診を入れて、罹患発見の精度を上げてはどうかと考えますが、区長のご所見を伺います。
そして、検診受診率を上げるためには、土日の検診実施について、さらなる周知徹底と受信可能な機関の拡大を図ってはどうかと考えますが、区長のご所見をお伺いいたします。
2. 次に、産前産後のトータルケアについてうかがいます。
以前産後ケアについて質問いたしましたが、昨今、高齢出産する方が増え、その場合、支援者となる両親も当然高齢化しており、なかなか援助が受けにくい場合が多くなっています。産後直後は、急激な母体の変化と生活環境の変化のなかで、母子が孤立しがちであります。ゆっくりと話を聞いてもらえる相談相手も少なく不安な状況の中で、育児や家事も思うようにできず、イライラが募り、ひいては虐待などのリスクへ移行してしまう要因となる可能性を秘めています。
産後鬱や虐待などを未然に防ぐためには、産前から、産後直後の環境整備を図り、またその後も切れ目のないケアが必要であると考えます。
現在本区では、早期の赤ちゃん全戸訪問や母子手帳交付の際に産後の環境を整えるためのアンケートを実施していただきその中から、ハイリスクの可能性のある母子のケアに力を入れて頂いているところであります。また、永寿総合病院との情報共有にも努めて頂いています。しかしながら、産前から病院や役所、また保健所と必要に応じて様々な機関に足を運び、出産後も然り、行く先がいくつもに分かれ、そのたびに相談内容や、子どもの状況を一から説明しなければなりません。やはり産前産後の切れ目のない一貫した総合的なサポート体制を整えることが重要であると考えます。また、安心して子を産み育てて頂く環境を整えることは、少子化の歯止めにもなることは言うまでもありません。
東京都では妊娠期からの切れ目ない支援体制を構築するための補助事業である、「ゆりかご・とうきょう事業」を平成27年度から開始しました。
この事業は、妊娠期から子育て期にわたる妊産婦などへ切れ目のない支援を行う自治体に対して、専門職の配置や育児パッケージの配布にかかる経費を補助することにより、取り組みの一層の充実を促すことを目的としているとのことです。
フィンランドでは、どの自治体でも「ネウボラ」という子育て支援を行う施設があるそうです。ネウボラとはフィンランド語で助言の場、妊娠出産・子育てに関する様々な相談に応じる支援の拠点という意味で、妊娠から出産、基本的に6歳までの子育てへの切れ目のないサポートを母子のみならずその家族に対して、総合的な支援サービスとして提供しているとのことです。都はこの東京版「ネウボラ」ともいうべき仕組みづくりを目指していくということで、23区では、豊島区がトップバッターとして7月15日から取り組みをはじめ大変順調な滑り出しをしているということです。
文京区では、都の補助事業を活用し、母子保健相談支援事業、産前産後サポート事業、産後ケア事業の3本柱の「文京区版ネウボラ事業」を実施しています。保健師が母子保健コーディネーターとして、妊娠期から就学までの子育ての相談に応じ必要に応じて、サポートプランを提供します。また、産後の心身の不調を整えまた育児不安のあるかたで家族のサポートが受けられない方に助産院でのショートステイを実施するとのことです。
中野区でも、助産師会と連携して、妊娠、出産、子育てトータルケア事業を開始しました。
現在9区がこの事業を実施または準備にはいっていて、来年度以降は15区に拡大してスタートされる予定だということです。
そこで、本区においても産後鬱や虐待を未然に防ぎ、安心して子供を産み育てられる環境づくりのため、産前産後の切れ目のないサポート体制を整備することについて、都の補助事業である「ゆりかごとうきょう事業」などを活用した事業の導入を図るべきと考えますが、区長のご所見をお伺いいたします。
- 次に、健康マイレージについてお伺いいたします。
国は21世紀における国民の健康寿命の延長を実現するための健康政策として、健康日本21を発表しましたが、その中で「疾病による死亡、罹患、生活習慣上の危険因子などの健康に関わる具体的な目標を設定し、十分な情報提供を行い」とあります。
年々区民の医療費も増加傾向にあります。先ほども触れましたが、病気を予防するための健康診断の受診率は、なかなかあがりません。病気を未然に予防し、健康寿命を少しでも伸ばし、介護予防していくためにも、区民の健康増進を応援する新しい仕組みが必要であるとかんがえます。
以前寺田議員からも提案がありましたが、様々な自治体で、健康マイレージ事業が実施されています。
市川市では、日々の運動や食事などの健康に関する自分だけの目標を設定し、体調管理に努め、目標を達成できた場合や健康診断の受診、禁煙、健康講座やスポーツイベントなどに参加した場合にポイントを付与し、4週間以上チャレンジして一定ポイントを達成した人には、景品交換しているとのことです。
またいつでもどこでも携帯やスマホ、パソコンで気軽にアクセスできるという手軽さが持続の要件になると思います。
また長崎県でも、県民にしたしまれている、がんばらんば体操がありますが、ラジオ体操のような3分間でウォーキング並みの運動効果のある体操を、台東区独自で開発して、区民体操として区民全体に広めてもよいと思います。
区民が常に、何らかの形で健康について意識できるような施策を進めていってはいかがでしょうか。
そこで、今後区民の健康増進のための施策として、どのように取り組まれるのか、また健康マイレージのような、健康啓発に対しで区民のモチベーションを高める点で大変有効で意義ある事業を自治体として、積極的に取り組むべきと考えますが区長のご所見を伺います。
- つぎに、認知症対策についておうかがいいたします
認知症に対しては、早期の発見と相談、そして早期支援が重要であります。
国では、27年1月に策定した、認知症施策推進総合戦略新オレンジプランの中で、介護者への支援や負担軽減のため、認知症カフェの設置などについて今後の対策の柱の一つとしています。
目黒区でスタートした認知症カフェでは、ケアマネージャーの資格を持つ方が入り、認知症状のある患者の家族などが気軽に悩みや不安を相談でき、家族同士が交流し、お茶を飲みながらなごやかに懇談し 、その中で早期発見・早期治療につなげることもでき、症状の進行を遅らせる効果もあり、自宅に引きこもりがちな認知症状のある高齢者が社会とのつながる居場所となっている。
また、桑名市では、高齢者が住み慣れた地域で生き生きと暮らし続けられるよう、出来る限り徒歩圏内で、地域住民の方が、交流の場を提供する、「通いの場」の登録を募集しています。「介護予防」、「閉じこもり予防」、「健康づくり」のため、集会所などの場所で、地域の住民が運営する「地域住民の集う場」の取り組みをしています。
そこで、高齢者の居場所づくりとしても認知症対策としても重要な認知症カフェの導入について区はどのように取り組まれるのか、区長のご所見を伺います。
- 最後に、シルバー人材センターの活用についてお伺いいたします。
近年、子どもたちの安心安全を脅かす事案が多発している感があります。とくに学校の登下校時や子どもクラブまでの道のりが遠い児童も見受けられます。地域で子どもたちを見守る体制が乏しくなっている昨今、地域ぐるみのちからを活用する仕組みが必要であると感じます。
子どもの送迎に関するニーズがどれぐらいあるかということも、アンケートなどで調査する必要があるとおもいます。
一方、区内の元気な高齢者の力を活用する取り組みも充実する必要があると考えます。
本区で行っている、シルバー人材センターには様々なお仕事のメニューがありますが、マッチングがうまくいかない例や登録して頂いても、適当なおしごとが回ってこないで待機することもあるようです。
茨城県筑西市では、「ばっちゃんボランティア」の愛称で親しまれている小栗子どもを守る会の活動が行われています。
小学校低学年の集団下校時に毎日交代で付き添い、自転車を押しながら児童と交通ルールなど和気あいあい語りながら自宅まで送り届けます。会員の方たちは「少しくらい遠くても、帰りは自転車があるので大丈夫。かえって運動になります。」と語られているということです。地域で子どもを安全に守ると同時に高齢の方たちの健康維持にもつながるとても素晴らしい取り組みだと思います。
荒川区でも以前から、シルバー人材センターのお仕事のメニューに子育て分野があり、登下校の見守りが含まれ、小学校の児童の下校見守りや、学童クラブの児童帰宅時の見守り、保育園安全見守りを行っています。
児童も、祖父母世代の方々に見守られながら、親しみを感じ安心して帰宅でき、保護者にも喜ばれているとのことです。
このような、世代間のふれあいは子どもの成育にも良い影響を与え、高齢者の生きがいや健康のためにも、大変重要なことではないでしょうか。
そこで、本区としても教育委員会などと連携を取りながら、登下校の見守りについて、シルバー人材のお仕事の一つとして加え、登録者や利用者の選択の幅を広げてはどうかとかんがえますが、区長のご所見を伺います。