平成30年第1回定例会 一般質問 中沢ふみお


台東区議会公明党の中澤史夫です。
会派を代表して一般質問させて頂きます。
私からは、SNSを活用した情報収集の強化について、路面下空洞調査について、中学校における部活動の現状と今後の課題について、台東区保育所入所基準の保護者の疾病・障害に難病を加えることについて、の4点お伺い致します。
区長・教育長におかれましては、是非とも前向きなご答弁を宜しくお願い致します。
それでは質問に入らせて頂きます。
最初に、SNSを活用した情報収集の強化についてお伺い致します。
防災・減災分野における情報収集・発信の課題は、災害時の避難指示、救援活動、復旧活動等の対応において、即時・的確な状況把握は極めて重要なことです、しかし、従前は、即時性のある情報、局地的な情報を広く取得することは困難でした。
また災害時において行政側からの情報発信手段は、様々なものが存在しています、被災者の置かれた状況によっては情報が伝わらない恐れもあり、それを防ぐためにあらゆる情報発信手段の利活用を考慮しなければなりません。
情報収集・発信の課題についてこれまでの国・地方の取り組みとして、平成26年9月に、災害の前兆となる情報発信や、災害時の被害情報、被災者の要望などを収集する場合、SNSを活用することの有効性を踏まえ、防災・減災政策分野におけるSNS等の民間情報の活用に関する報告書を取りまとめ、平成27年7月内閣官房IT総合戦略室において、地方公共団体によるSNS活用を促進するための検索用語集が作成されています。
平成28年9月には、地方公共団体におけるSNSの防災活用状況について、平成26年度から毎年調査を行い、これまでの取り組みと、地方公共団体へのヒヤリング結果を踏まえて、「災害対応におけるSNS活用ガイドブック」が出されております。
そのガイドブックによると、全国地方公共団体のSNS活用状況の調査結果は、地方公共団体1,741団体のうち、1,029団体が公式SNSアカウントを保有し情報発信に活用しています。そのうち全体の53.6%に当たる934団体が災害対応として活用しており、本調査を開始した平成26年から着実に増加しています。
災害対応に活用している934団体の総人口は、日本の総人口の約81.5%に達していることから、我が国の大部分をカバーされているとも言えます。
しかし、SNSを災害対応に活用している934団体のうち927団体は、情報発信のみの利用と止まっております。
一方、残りの7団体は、情報発信に加え災害時の情報収集としても活用しています。
また、現在情報発信のみに利用している地方公共団体のうち106団体は、情報収集への活用を検討している又は今後検討を予定するとしております。
災害対応へのSNS情報の活用方策として次のような流れが想定されます。
通常、災害が発生した際は、先ず初めに被災地やその周辺の情報収集が急務で、収集した情報をもとに被害状況を把握し、それぞれの被害状況に応じた避難指示や救援・救護等、様々な対応へと繋げていきます。
一方、災害が発生した際の情報収集活動は、主に、気象庁を始めとした公的機関やテレビ・ラジオなどが発表する情報の収集でした。
こうした中、近年、多くの住民、被災した方々がSNSを活用し、時々刻々と変化する情報を多数発信しています。
SNSより発信される情報は、被災現場又その近辺から発信され、災害発生直後から時間の経過次第に発信されるなど、臨場感、即時性のある貴重な情報源と言えます。
このため、災害時のSNS発信情報は、臨場的で、即時性・局地性のある情報収集の最も有効な手段の一つであり、発災後の対策に活用していかなければならないと強く思っております。
対災害SNS情報分析システム「DISAANA (ディサーナ)」は、今現在のTwitterへの投稿をリアルタイムに分析し、エリアを指定するとそこで発生している災害に関する問題・トラブルを自動的に抽出したり、例えば「大雨が降っているのはどこ」といった質問の回答候補をTwitterの投稿から抽出し、リスト形式または地図形式で表示できるものです。
このようにDISAANAによる検索方法としては、状況が把握できておらず、取りあえずあるエリアで何が起きているのか知りたい場合の「エリア指定モード」と、既に何を知りたいのか分かっている場合により詳細な情報を得るための「質問応答モード」とがあります。
また、DISAANAと同様のもので、被災情報を集約しコンパクトに表現することで、災害状況を分かりやすくする、災害状況要約システム「D―SUMM(ディーサム)」もあります。
DISAANAでは、大規模災害の発生時に膨大な被災報告が出力され、被災状況の概要を一目で把握することは困難でした。そこで、この課題を解決すべく、災害状況要約システム・D-SUMMの研究開発が進められました。
D-SUMMはAI(人工知能)を使い、Twitterに投稿された災害関係情報をリアルタイムに分析し、都道府県単位又は市町村単位でエリアを指定すると、指定エリア内の被災報告を瞬時に要約し、そのエリアの被災状況の概要を一目でわかるように、コンパクトかつ、わかりやすく提示し、各種救援、避難等を支援するものです。
DISAANA及びD-SUMMは、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の 耐災害ICT研究センター及びユニバーサルコミュニケーション研究所において開発し、現在NICTのwebサイトに広く公開されており、パソコン、スマートフォン、タブレット端末のブラウザから利用が可能です。
DISAANAについては、平成28年4月に発生した熊本地震の際、政府において指定避難所以外でのニーズ把握等に活用されたほか、大分県では、同地震の被災を契機に県内の被害情報の把握手段の一つとして、同年10月の阿蘇山の爆発的噴火や日向灘を震源とする地震の際に活用するなど、実際の災害時で活用実績も出ており、情報収集・分析能力や使い勝手の点からも有効なツールといえます。
なお、twitterを活用する留意点は、必ずしも情報の信頼性が十分ではない、との指摘もあります、災害時においては、デマ、流言や誤報が発信されることもあるため、活用する際には、災害状況や被災状況の調査を実施するための「きっかけとなる情報」として捉えることが肝要であるとの指摘もあります。
SNSにより収集した情報については、行政機関の災害対応職員など、既存の仕組みや手順により収集した情報と組み合わせることによる判断や、職員の現地踏査との連携を行い、個々の収集情報を相互補完させることによって、より正確な情報としていくことが大切です。
本区も、さまざまに災害発生時の対応は行っていると思いますが、SNSを活用した情報収集を強化していくことも重要だと思います。
区長のご所見をお伺い致します。

◇区長答弁
中澤議員のご質問にお答えいたします。
ご質問の第一は、SNSを活用した情報収集の強化についてです。
災害時において、情報はその後の対策を実施する判断材料となることから、迅速かつ正確に 収集すべきと考えております。
区では、災害時、職員による現地調査をはじめ、関係機関や区民の皆様からの情報を一括して管理し、対策を講じていくこととしています。
議員ご提案のSNS情報の活用については、広く情報を収集できる利点がある一方、信頼性の確保、情報に集約などの課題もございます。
今年度、東京都では、今後5年間の取組みとして、「東京都ICT戦略」を策定いたしました。その中で、SNS情報の収集する枠組みの構築を目指していることから、今後、国や都の動向を注視し、活用方法について研究して参ります。

次に、路面下空洞調査についてお伺い致します。
路面下空洞調査は、道路陥没の原因となる路面下の目視で確認できない空洞を調査するものです。都市の道路の路面下に空洞ができる原因は多々ありますが、路面下にある下水道本管と取付管の接合部分のはずれや破損、水道管の漏水などにより埋戻し用の砂が流れ落ちたり、地震による液状化現象等により発生すると言われています。さらに震度5以上の強い揺れにより路面下の空洞化が一気に進むという指摘もあります。
調査方法は、地中レーダを搭載した空洞探査車で道路
を走行し、路面下の異常信号を検出した箇所について、ハンディー型レーダ調査を実施、小型カメラで空洞の有無及び規模等を確認するものです。
本区においても、区が管理する幹線道路において、定期的に路面下空洞調査を実施、探査機器による道路陥没の原因となる空洞を発見できることから、重大事故を未然に防止する有効な方法であります。
さて、本区周辺は1960年代に他地域に比べ早い時期に下水道などのインフラ整備が行われました。コンクリートの耐用年数が50年から60年といわれており、老朽化はかなり進んでいるのではないでしょうか。この点からも災害時の安全性を確保するためには、道路の空洞化の対策に取組むことは、防災・減災のための安全策であります。
幹線道路に限らず、台東区循環バス「めぐりん」の運行ルートや比較的交通量の多い生活道路においても、路面下空洞調査の対象範囲を広げ調査すべきと考えますが、区長のご所見をお伺い致します。

◇区長答弁
道路陥没による事故を未然に防ぐため、路面下の空洞等の異常を早期に発見することは予防保全の面からも道路の維持管理を行っていく上で、極めて重要です。
区では、主要な幹線道路において、概ね10年ごとに調査を実施しており、その結果に基づき、速やかに補修工事を行うなど、大規模な道路陥没の防止に努めてきたところです。
平成30年度は、引き続き、「清洲橋通り」や「金杉通り」などにおいて調査を実施する予定です。
議員ご提案の調査対象範囲の拡大については、安全な道路環境を維持していく観点から、鋭意検討して参ります。

三点目に、中学校における部活動の現状と今後の課題についてお伺い致します。
新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のため学校・教師が担う業務の明確化・適正化が求められております。
代表的な業務の在り方に関する考え方の部活動では、中学校での部活動は、生徒の自主性を尊重しつつ、スポーツや文化等に親しむとともに、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養(かんよう)等に資する重要な活動としての教育的側面や部活動の様子の観察を通じた生徒の状況理解の意義があります。
運動部と文化部とではそれぞれ特有の課題がありますが、教師の負担軽減が必要であるという点についてはどちらにも共通しています。
各学校が部活動を設置・運営することは法令上の義務とはされていませんが、現状では、ほとんどの中学校において部活動が設置され、実態として、多くの教師が顧問を担わざるを得ない状況にあります。
それぞれの業務を適正化するための取組として、「学校における働き方改革に関する総合的な方策(中間まとめ)」を踏まえ、
「本年度までに、部活動の適切な運営のための体制の整備や適切な活動時間や休養日についての明確な基準の設定、各種団体主催の大会の在り方の見直し等を含んだガイドラインを作成し提示する。また、文化部活動に関しても運動部活動と同様にその在り方等について検討する必要があることから、ガイドラインを作成する等必要な取組を行う。」
「部活動の顧問については、教師の勤務負担の軽減や生徒への適切な部活動指導の観点から、各校長が、教師の専門性や校務分担の状況に加え、負担の度合いや専門性の有無を踏まえて、学校の教育方針を共有した上で、学校職員として部活動の実技指導等を行う部活動指導員や外部人材を積極的に参画させるよう促す。部活動指導員については、スポーツ庁が作成予定の「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン(仮称)」を厳守すること、部活動指導員の参画が教師の働き方改革につながる取組であること等を条件として支援を行う。」
「少子化等により規模が縮小している学校においては、学校に設置する部活動の数について、部活動指導にたけた教師の配置状況や部活動指導員の参画状況を考慮して適正化するとともに、生徒がスポーツ等を行う機会が失われることのないよう複数の学校による合同部活動や総合型地域スポーツクラブとの連携等を積極的に進めるよう促す。」
「大会・コンクール等の主催者に対して、部活動指導員による引率や、複数の学校による合同チームや地域スポーツクラブ等の大会参加が可能となるよう、関係規定の改正等を行うよう要請する。」
「各種団体主催の大会も相当数存在し、休日に開催されることも多い実情を踏まえ、各種団体においてその現場の把握と見直しを要請する。」
「将来的には、地方公共団体や教育委員会において、学校や地域住民と意識共有を図りつつ、地域で部活動に代わり得る質の高い活動の機会を確保できる十分な体制を整える取組を進め、環境が整った上で、部活動を学校単の取組から地域単位の取組にし、学校以外が担うことも検討する。」
など、「学校における働き方改革に関する緊急対策」の指摘のとおり、台東区においても早急に取り組む必要があると考えます。
また運動部活動については、スポーツ庁作成予定の「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン骨子(案)には前文として「学校の運動部活動は、学校教育の一環として行われ、我が国のスポーツ振興を支えてきた。また体力や技能向上を図る以外に、異年齢との交流の中で、生徒同士や教師等との人間関係の構築を図ったり、自己肯定感を高めたりする等、教育的意義が大きい。
少子化の進展や社会・経済の変化等により、教育等に関わる課題が複雑化・多様化し、学校や教師だけで解決することができない課題も増え、運動部活動に関しても従前同様の体制では維持が難しく、学校や地域によっては存続の危機にある。
将来においても、全国の生徒が各自のニーズに合ったスポーツ活動を行うことができ、生涯スポーツに親しむ基板として運動部活動を持続可能なものとするためには、部活動の在り方の抜本的な改革に取り組む必要がある。」としています。
生徒が、部活動を通して得られる全てのことは、教育的意義が大きいと考えます。是非生徒に配慮した部活動の在り方となるようご考慮頂きたいと思います。
そこで、本区の中学校における部活動の指導体制の現状と今後の課題について、教育長のご所見をお伺い致します。

◇教育長答弁
中澤議員の中学校における部活動についてのご質問にお答えをさせていただきます。
部活動は、教育的意義が高く、多様な学びや経験をする場、自らの興味・関心を深く追究する機会などの充実につながっております。
現在、スポーツ庁においては、運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインについて検討が行われております。
また、東京都教育委員会においては、文化部を含む「部活動の在り方に関する総合的なガイドライン(仮称)」の作成が行われております。
中学校の部活動の指導につきましては、教員が担っておりますが、専門的な知識や指導技術を十分に有していない場合には、部活動指導の充実を図るため、外部指導員を学校に配置しているところでございます。
一方、外部指導委員が学校外での活動の引率をできないことや指導教員の長時間労働が課題となっております。
教育委員会といたしましては、今後、校長会などと連携し、国や都の動向を踏まえ、学校における働き方改革に関わる検討議会において、学校外での活動の引率ができる部活動指導員の配置について検討を行い、部活動の指導体制の充実を図ってまいります。

4点目として、台東区保育所入所基準の保護者の疾病・障害の項に難病を加えることについてお伺い致します。
先日、保育所入所の希望されている、保護者の方から、お話をお伺いする機会がありました。その方は、ご自身が難病に指定されている病気に罹り、小学生と一歳になるお子様を育てながらの生活で、思うように病院に通うことも出できず、保育園の入園申込を考えたということです、そして、入園案内の基準を確認すると、保護者の状況の項目に、疾病と障害の記載はありましたが、難病の記載がなく、不安に思ったそうです、そこで区役所へ出向き窓口で確認したところ、様々お話を聞いて頂き、その結果、記載の中の項目に該当するとのことで、診断書を用意して申請を行ったとのことでした。
問い合わせや相談をすることで、適正に対応していただけたので、結果的には問題はなかったのかもしれませんが、案内書を見た段階で、記載があれば、不安になることは、なかったのではないでしょうか。
台東区内の難病の登録患者数は、対象疾病数も拡大され、増加傾向にあります。
保護者の方が、より安心して申請できるよう、
本区の保育所入所基準に難病の項目を書き加える配慮が必要と考えますが、教育長のご所見をお伺いいたします。

◇教育長答弁
保育所の入所審査にあたりましては、申請をされた方の家庭状況等を把握することが大変重要であると認識いたしております。
現在、保護者の方に難病があることにつきましては、入所申請を受け付ける際に詳しく状況をお聴きしたうえで、指数を決定しているところでございます。
今後は、議員のご指摘を踏まえ、窓口や区の公式ホームページ等で公開している「保育利用のご案内」について、よりわかりやすい表記に見直してまいります。

以上で私の一般質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。