第4回定例会 一般質問に会派を代表して質問しました。
1.高齢者を中心とした多世代交流について
2.SOGI(そじ)について
3.学校トイレの役割について
学校トイレの感染症対策について・災害時の避難所におけるトイレの使用の取り決めについて・オールジェンダートイレについて
高齢者を中心とした多世代交流について
超高齢化時代を迎え、一人暮らしの高齢者や高齢世帯の増加により、家に引きこもりがちになり、地域で孤立してしまう方々が増えています。そこで以前より介護予防の観点から、日中、高齢者が気軽に立ち寄ることができ、お茶を飲みながら、おしゃべりをして、楽しく過ごすことのできる「居場所づくり」を推進していくことが重要だと提案いたしました。
一方で、年齢を重ねても元気で生きがいを持ち、住み慣れた地域で、いきいきとくらしていきたいと願う高齢者は、たくさんいます。そしてコロナ禍であっても、身近な場所で、近隣の方と接点を持ち、何時でもお互いの様子を確認して、助け合い支えあうことができる「人と人とのつながり」の形成は、介護予防を考えていく上で、大変重要な生活支援に位置づけられると考えます。
また、出番を作ることが、高齢者の生きがいに繋がると考えます。
現代は核家族が進むにつれ、昔のような多世代間の交流の場がほとんど無くなっています。
高齢者は高齢者と、若い世代は若い世代と、それぞれ互いにいきづまりが生じますが、自由に交流することで高齢者は若い発想に触発され、若者は高齢者の経験に裏打ちされた知恵に助けられ、新たな価値観が生まれ支えあいの輪が広がると考えます。
また、少子高齢化に伴い、医療費と介護費の増加が、人口減少社会においては、次世代の大変な負担となってまいります。若い世代から、高齢者まで健康増進に取り組み、健康寿命を少しでも延ばすことがそれらの課題解決につながります。
さらに、一人暮らしの高齢男性が、地域から孤立しやすい傾向にある状況がありますが、ボランティアなどの社会的活動を行うという目的ができることで、人付き合いやご近所づきあいが苦手な方でも「ほかの人の役に立てる」ということから参加意欲が高まると考えます。
今後、高齢者の社会参加型の活動を進めていくうえで、様々なきっかけづくりが大切になってくるのではないでしょうか。
本区においても、地域においてボランティアや地域での自主的な活動ができる通いの場づくりに対して支援を実施して頂いていることは認識しているところであります。
しかしながら、高齢化により参加者の減少などで継続が難しいと不安を感じている団体が半数以上いると聞いています。
湯河原町では、2016年11月からがゆがわらっことつくる多世代の居場所をオープンしています。ここは、空き家をリノベーションし、地域の若者から高齢者まで活動し、多世代交流の居場所として活用されています。また、慶應義塾大学SFC研究所と浜松医科大学、湯河原町による「未病に取り組む多世代共創コミュニティーの形成と有効性検証プロジェクト」がスタートしています。
高松市では、多世代交流ガイドブックを作成して多世代交流活動のポイントや、子どもと交流をしながら活動している居場所の事例を載せてその一助としています。
このような高齢者が元気で生きがいを持ち、住み慣れた地域で生き生きと生活していくために、高齢者の出番を作り、多世代との交流ができる居場所の推進や生きがいの創出が必要であると考えます。また、多世代交流により児童生徒の孤立を防ぎ、健全な成長を促すことができ、「地域で育てる」を実践的に可能にできると考えます。
台東区においては現在、様々な高齢者向けの事業を行っていると思いますが、今後は高齢者だけでなく、多世代の方も参加できるように取り組む必要があると考えますがいかがでしょうか。
区長のご所見をお伺いいたします。
SOGI(そじ)についてお伺いいたします。
誰もが自分らしく自分の人生を生きることができる社会の実現を目指して、台東区では、平成2年3月に男女平等推進行動計画を策定し、LGBTなどについて相談体制や理解の促進に努めていますが、引き続きこれからも積極的に推進し周知する必要があると考えます。
本年、11月1日からYouTubeにて「性の多様性と人権・SOGI(そじ)の視点から多様性を学ぶ」をテーマに動画配信をスタートしていただいており、私も拝見し、とても勉強になりました。
株式会社アウトジャパン代表取締役、屋成和昭さんと当事者の方を招いて、わかりやすくお話をしていただいています。
是非、今後もこのような形で周知に努めていただければと思います。
昨今の日本において、LGBTという概念は、社会に浸透しつつある中で、そこでは括りきれない方々の存在が明らかになりました。
当事者に伺うと、「『どうしてそうなの?』と聞かれても自分でも説明ができないのです」とおっしゃいます。はっきりと定義づけできない、曖昧模糊とした状態であるそうです。
明らかな違和感を抱えつつも自分の性別がわからない方、決められたくない方などのQ(クエスチョン)を加えたLGBTQ+と表現されるなど、概念が様々広がりを見せています。
そういう意味では、LGBTという表現が終わりを迎え、考え方を変える段階にきているようです。
それが、異性愛の人を含めてすべての人が持っている属性を表すSOGI(そじ)という概念です。
すでに国連の正式文書では、LGBTではなく、SOGIが用いられており、日本も賛同国に入っているとのことです。
SOGIとは、性的指向(Sexual Orientation)と性自認(Gender Identity)の頭文字をとったもので、LGBTが誰を好きになるかということを指すのに対して、SOGIは自分自身をどういう性か認識し、どんな性別の人を好きになるのかということを指します。つまり、SOGIには私たち人間全員が含まれているという考え方です。
ですから、それぞれのSOGIに対して、理解をする努力をし、お互いに尊重しあう姿勢が大事になってくると思うのです。
このSOGIに対する差別を撤廃する動きが、日本でも始まっています。あらゆるSOGIを差別しない、されないという考えを持つことが重要であると考えます。気づかないうちに人を傷つけないためにも、この概念を理解して誰もが置き去りにされない、お互いに様々な考え方を認め合う社会の実現が肝要です。
もう一つには、現在、パートナーシップ制度が渋谷区と世田谷区でそれぞれ2015年に始まり、本年11月5日に5年を迎えるとのことです。
この制度は、この間にも全国60以上の自治体で実施され、広がりを見せています。
現行法制度のもとでは法的効果はないものの、証明書などが交付され、婚姻関係に準じたパートナー間の相互に協力し合い共同生活を継続できるものとしています。
パートナーシップ制度の導入も検討していただけるよう要望いたします。
以前の一般質問でも引用させていただきましたが、改めて、駐日カナダ大使のイアン・バーニー氏の言葉をお借りしますと、「平等の権利、多様性、インクルージョン(共生)の尊さを皆様と共感できることを、駐日カナダ大使としてうれしく思っています。LGBTのコミュニティーにとって、重要なこれらの価値観はカナダのアイデンティティーでもあります。どこまでもその人が、その人らしく生きられるよう、「より良い共生社会の形成とすべての人の平等のためにこれからも皆様と力を合わせていきたいと思っております。」と日本に向けてメッセージを送られています。
今、LGBTからSOGIへ各自治体がしっかりとした認識を示していく時が来たのだと思います。
本来、この問題を語る際は、教育現場へ目を向けていかなければなりません。
当事者にとっては、自分が感じている違和感を、子供時代から長い間胸に抱え込み、苦心で自分に自信が持てないでいることが多く、LGBTの子どもは40人クラスの中で3人はいると言われ、トランスジェンダーの約6割が自分自身を否定し苦しみの中で自死を考えたことがあるといわれています。
性自認の時期も様々で、いつ自覚がめばえるかその人それぞれであり、それがゆえに、教育現場でも実は、悩み苦しんでいる児童や生徒が存在することを考えますと、学校で子どもに寄り添う先生が、正しい知識を持つことが大変重要であると考えます。
すべての区民がお互いの多様性を尊重しあい、すべての人がその個性をいかして、自分らしく生活できる、誰も置き去りにしない共生社会になるよう配慮していただきたいと切に願います。
そこで、今後は、今まで以上にSOGIの視点での理解周知が進むように、本区においても本来人間が持っている多様性も対応できるダイバーシティの推進が求められると考えます。
- その中でSOGIに配慮した相談体制の整備やその周知が必要だと考えます。区長のご所見をお伺いいたします。
- 区民サービス相談体制の要である職員の皆様に対する人権研修をさらに拡大充実させ意識改革を加速的に進めてはどうでしょうか。ご所見を伺います。
- また公園や区有施設内のトイレもオールジェンダーに配慮する考え方を取り入れていく必要があると考えますがいかがでしょうか。ご所見をお伺いいたします。
学校トイレの役割について伺います。
はじめに、学校トイレの感染症対策について伺います。
文科省では2020年度補正予算が成立し、感染症対策の観点から学校再開に向けた支援策を決定し学校における感染症対策事業に137億、学校等衛生環境改善に106億の予算を提示しています。
内閣府の避難所におけるトイレの確保・管理ガイドラインでは、既に設置のトイレの洋式化を推奨しています。
国土交通省では、バリアフリー基準適合義務の対象施設に新たに、公立小中学校を追加することとなり、「心のバリアフリー」推進とも相まって、学校施設を利用する地域住民のための多機能トイレや車いすトイレの整備などにも当てられるということです。
トイレの問題点として常に清潔に保つための清浄が欠かせないことであります。そして狭い空間であり、不特定多数が使用することで感染リスクが高いということです。
トイレで最も多い感染症はノロウイルスで、排泄物やおう吐物より感染します。
コロナ禍においてもリスクは高く、学校トイレの洋式化をさらに進める必要があります。
トイレの洋式は清掃しやすく、感染リスクが少ないということは立証されており、洋式に比べ和式のトイレは排泄物が広範囲に飛び散り床から近く菌の増殖が著しい状況です。(学校トイレ研究会)
合わせて、トイレの床の乾式化は最も重要です。清掃の方法も水を流すより乾いた環境の方が感染リスクを下げることになっております。
また、手や指の衛生には自動水栓が最適です。濡れている水栓の蛇口から菌が多く検出されるという結果が出ていることからも明らかです。(TOTO総合研究所2012年調査)感染源にならないための予防策として、インフラ改善と掃除、消毒などのソフト面の対策が大変重要になってまいります。
石川県かほく市では、市内小中学校のトイレの全洋式化を進めています。全洋式化を進める事は、一般家庭では、洋式が当たり前であること、災害時には小学校が避難所の拠点になることが最大の理由だということです。特に、年配者の来校が多いことにも配慮しているとのことです。
トイレのデザインでは、トイレ内でのコミュニケーションを図ることが目的でアイランド型手洗いカウンターを設置したり、小便器の配置に曲線を取り入れたりして楽しさを演出する様々な配慮が盛り込まれ、児童がトイレに行きやすい空間を実現しています。また、感染症対策のため、トイレの入り口は扉がないドアレスにしてあり、形もクランクしてプライバシーにも配慮しています。手洗いは、非接触の自動水洗とのことです。
安心して利用できる衛生的空間づくりのポイントとして、“触らない”、“増やさない”、“自己防御”、“ドアをなくす”、“非接触の手洗い”、“菌の拡大を抑制”の6つが挙げられています。(TOTO、木村博一先生前国立感染症研究所感染症疫学センター室長現群馬大学大学院保健科学研究科医療科学領域教授)
台東区においては現在、小中学校のトイレの洋式化は82.5%まですすんでいますので、感染対策の一環として、さらに全校の洋式化を加速的に進めてはいかがでしょうか。
教育長のご所見をお伺いいたします。
次に、災害時の避難所におけるトイレの使用の取り決めについて伺います。
台東区において災害時の避難所になる学校におけるトイレの洋式化は82.5%であると先ほど触れましたが、その中、総計1,126カ所中、校舎のトイレは901か所、実際に避難所となる体育館のトイレは29カ所、その中で4カ所は和式トイレです。
災害の際、学校は高齢者や障がい者や様々な方が避難してくる場所でありますので、トイレの全洋式化や誰でもトイレへの転換など検討していくことは大変重要です。
愛知県豊川市では、各校一か所、誰でもトイレの設置を実施しているということです。
現在、全国でも、学校に誰でもトイレの設置率は25.3%と低く、台東区でも、先進的に取り組んではいかがでしょうか。
下水道破損で汚水を流せないときのためのビニール袋式で、汚臭をカットできるタイプの便袋の備蓄もしていただいていますが、実際に便袋の回収やごみ収集が来るまでの保管場所の問題などすでに設置のトイレが機能しなくなった時の想定を具体的で実践的なものとして対策する必要があります。
また仮設トイレの貸し出し業者との提携も有効であると考えます。
仮設のトイレの事業者の主な備蓄拠点は、静岡に集中していると聞きますが、いざ、発災時現場に届くのはどのくらいになるのか。道路状況などで遅延する可能性もありますが、避難者の知見から、避難所で一番困ったことの第一はトイレで、「トイレの数が少ない」ということです。
すでに設置のトイレにあわせ、簡易式のトイレの備蓄もさらに充実すべきと考えます。
トイレ事情は、完璧にして、しすぎることはないと思います。
そこで区長にお伺いします。
学校が避難所として機能している間は、校舎のトイレも使えるとは思いますが、時間の経過とともに、授業が再開されると、トイレ使用が制限されることが予測されます。
教育活動の場である学校のトイレの災害時の使用についての取り決めが必要であると考えますがいかがでしょうか。
区長のご所見を伺います。
最後に、オールジェンダートイレについて伺います。
先ほどSOGIについての質問で触れましたが、学童期において性別に違和感がある児童生徒が、トイレを我慢してしまいそれゆえ膀胱炎になってしまうという事例が起こっています。また誰もいないときにいくため、授業に参加できていない、授業に集中できないという問題も起こっています。また、人目のないトイレに行くということで危険を伴う場合も危惧されます。
また、配慮が必要な児童生徒にとっても、パニックになったときにクールダウンの役割を果たせる場所となりうるのもトイレになります。
今後学校の大規模改修などの折に、みんなのトイレの環境づくりの考え方は必要であると考えます。トイレに行くことが苦にならず、安心安全に使える、「みんなのトイレ」の考え方を踏襲した計画を進めてはいかがでしょうか。
また人目から男女どちらのトイレに入るかわからない様に前室のあるトイレの設置や、保健室の目の前にあるトイレの設置など、性別に違和感を抱えた児童生徒に対する配慮はとても重要なことだと考えます。
SOGIの観点から、性別違和の児童生徒などに配慮した、オールジェンダートイレの設置について積極的に推進してはいかがでしょうか。
教育長のご所見をお伺いいたします。