平成28年度第1回定例会において、平成28年2月20日(土)代表質問を行いました。
質問内容は次の4点です。
1.財政について
2.「軽減税率」導入について
3.ダイバーシティ台東の未来構築について
4.地域包括ケアシステム構築実現に向けて
では詳細をご覧ください。
平成28年度第1回定例会 代表質問
台東区議会公明党の小菅千保子でございます。本日は会派を代表して質問させていただきます。
早速、代表質問に入ります。区長におかれましては どうぞ明快かつ積極的なご答弁をお願い申し上げます。
はじめに財政について伺います。
冒頭、先日 服部区長の所信表明を伺い、新たな息吹が吹き込まれ、「躍進台東 新しい台東区」実現への発進!!という実感を得たところであります。
今や日本は人類が経験したことのない超少子高齢社会そして人口減少という課題と直面しております。そこで国は将来にわたって活力ある社会を維持していくことを目的として「一億総活躍社会」つまり、誰もが自分らしく輝いて生きる社会への挑戦を開始いたしました。
幸いにして、本区の人口動向は 微増傾向が続いておりますが、今後の人口動向については注視しつつ、新たな総合戦略を打って少子高齢化対策を徹底して行っていかなければなりません。
平成28年度においても 保育施設の需要の高まり。経済的に困難な世帯への支援など 子育てしやすい環境を整えていくことが急務であります。また、同時に今日の日本繁栄の礎を築いてくださった人生の先輩方が安心して生活できる環境を速やかに構築していく必要があります。
その意味で社会保障と税の一体改革を着実に進め、適切なサービスを提供できる体制を構築していかなければなりません。
第2次自公連立政権として3年余りが経ちました。安定した政治状況のもと、デフレ脱却まであと一歩のところまで経済が活性化してまいりました。企業の経常利益は過去最高となり、昨年の倒産件数は3年前に比べ約3割、減少いたしました。また、昨年は海外からの外国人旅行者が1973万人と過去最高となりました。その方々が買い物に使った費用は約3兆5千億円となり、景気回復への大きな助け舟になっているといえます。
しかし、区内の中小企業・小規模事業者の方からは依然厳しい状況だとの声も伺っております。さらには、輸出を中核とする大企業製造業には恩恵の大きい為替相場の状況は、むしろ、中小企業には原材料費の値上がりという逆風を招いております。
中国経済の減速や原油価格の世界的な低下、同時株安など、年始早々から不安定な国際情勢の変化がわが国の経済に与える影響もより大きくなってきております。
こうした国内外の情勢の中で台東区の財政は、現在、どのような位置にあるのでしょうか。まず、平成27年度の最終の補正予算案では特別区民税、特別たばこ税ともに約5億円の増額となっております。これに加えて特別区交付金いわゆる都区財調は17億円の増となっております。
歳出は様々な事業の不用額を積み上げ、公共施設建設資金や災害対策基金、減債基金などに50億円近い積立を新たに行っております。いずれにしても区の基金を約400億円積み増す勢いになっております。
一方、平成28年度の一般会計当初予算案を見ると、特別区税、特別区交付金ともに増収となっており、歳入歳出予算の総額は過去最高額の968億円となりました。これは区長の意気込みの表れだと高く評価致しますが、過去最大の歳出を賄うために大きな財源が必要だったのかと存じます。税収が伸びた結果、歳出の増加に対して一定の財源を確保することはできましたが、引き続き、基金を約18億円近く繰り入れしています。この基金繰入金を約18億円投入している実態については改めてみていかなければなりません。
そこで区長に伺います。
世界経済が変調をきたしはじめ、日本の経済回復ももう一歩という時ですが、本区の財政はどのような状況にあると考えておられるのか。 区長のご所見をお聞かせください。
<区長答弁>
小菅議員のご質問にお答えいたします。
ご質問の第一は、財政についてです。
昨今の世界的な金融資本市場の 不安定な変動や、我が国のGDP成長が最新の速報によると前期比マイナスになるなど、景気の動向は不透明さを増しているものと認識しております。
平成28年度予算案においては、歳入では、特別区税や 特別区交付金のを見込むものの、財源の不足を補うため、基金の取崩しを計上しております。
また、歳出においても、「特別養護老人ホーム谷中」や「上野中学校」の大規模改修など公共施設保全のための経費や、年少人口の増加に伴う保育サービスの拡充に係る経費を計上するなど、様々な行政需要が増大しており、区の財政は、予断を許さない状況にあると考えております。私は、将来にわたって、区民の皆様が安心して生活できるよう、今後とも、事務事業の検証や、管理的経費の見直しなどによって、より効果的な事業の執行に努めるとともに、将来の財源不足や財政需要の増加に備えるための基金てを行うなど、中長期的な視点に立った、健全な財政運営に取り組んで参ります。
2、次に「軽減税率」導入について伺います。
平成26年度に社会保障と税の一体改革で改定となった地方消費税交付金は、平成28年度は5%から8%へのアップしたその分が約17億6千万円となっており、これについては社会保障施策に使われることが予算書にも明記されております。
来年2017年4月には消費税率が8%から10%にさらに変更となります。公明党は「社会保障のために消費税が上がるとしても毎日の生活を支える飲食料品はこのままで」という生活者の皆様の声に「軽減税率」の導入を粘り強く主張し、実現いたしました。その結果、酒類と外食を除いた飲食料品全般と週2回以上発行の定期購読の新聞については8%で据え置くことになりました。
この「軽減税率」導入にあたり、皆様への丁寧な説明が必要となります。特に事業者の皆様には複数税率になりますので複雑な業務に対応していただくことになります。軽減税率導入当初4年間は簡素な経理方式を経て、2021年度から「インボイス(適格請求書)制度」となります。
今後、国も事業者の皆様に向けて様々な補助制度を実施していくことが決定している事業もあります。例えば、複数税率対応のレジスター補助制度がすでに始まっております。簡易な伝票記載方法など導入当初は何かと相談内容も多くなることが予想されます。
そこで区内の事業者に向けて、軽減税率導入に関する補助制度などの速やかな情報発信と相談窓口の開設が必要になると考えます。
区長のご所見をお聞かせください。
<区長答弁>
ご質問の第二は、消費税 軽減税率についてです。
軽減税率の導入にあたっては、事業者の準備が円滑に進むことが重要であると、私も認識しております。
既に産業振興事業団において、「ビジネス支援ネットワーク」を活用した相談体制の拡充を図り、軽減税率導入に関する各種支援策の情報提供や 活用のサポートを行っています。
さらに、軽減税率対策予算を含む国の補正予算に係る相談窓口の開設、国などの動向を踏まえて迅速に対応を行っています。区では、今後とも、軽減税率の導入が本格化していく中、国や 関係する中小企業支援団体との連携を更に強化し、区内事業者に対し、きめかな対応を 積極的に行って参ります。
3、次にダイバーシティ台東の未来構築について伺います。
ここで述べます「ダイバーシティ」とは多様な人材を積極的に活用しようという考え方で性別、年齢、価値観など超えて多様性を受け入れ、斬新なアイデアの喚起、社会の多様なニーズへ対応していくということです。
今回の提案は2つの課題を取り上げ、本区での課題解決のために次の台東区を担う青年世代の力を発揮していただき、本区の未来を構築していこうという提案です。
本区におきましては平成26年7月に「台東区施設白書」を作成。この白書に基づいて「台東区公共施設保全計画」中間のまとめが第4回定例会で報告されたところであります。
しかし、この報告を受けて 現状ではそもそものこれからの台東区としての「公共施設のあり方」が論じられないまま、計画だけが立てられたのではないかというのが率直な感想であります。
まもなく3月には「台東区人口ビジョン・総合戦略」も策定されますが、今後、まずは人口ビジョン・総合戦略をベースに日頃から、公共施設をご利用いただいている地域住民と行政との協働で財政規模を示した上で将来に向けて地域における公共施設の適正な量、利用目的・役割や運営方法また、多目的化、老朽化による未利用物件の扱いなど含め、「本区の人口構成はどのくらいが望ましいのか。」また、「公共施設のあり方」などについて議論を開始してはどうかと考えます。
また、ごみ焼却炉を持たない本区では年間約20億円もの予算をかけてごみ処分を行っております。戸別収集などの取り組みで区全体のごみ削減に取り組んでいることは評価しております。最近、食品ロス削減の取り組みと温暖化の関係についても環境省をはじめ、東京都においても問題提起がされ始めております。
自治体として「温暖化対策と循環型社会について」真剣に考え、行動していかなければならない状況になってまいりました。これについてはまた、改めて伺います。
只今、問題提起いたしました2点「これからの公共施設のあり方」と「温暖化対策と循環型社会について」これらの課題を基礎的自治体としてどのように取り組んでいくのか?次の世代にどう受け渡していくのかは私たち大人の責任であります。
まずは様々な視点、観点から抜本的な議論を開始していく必要があると考えます。
その議論の場、つまり、多様性にあふれたダイバーシティ台東の未来像を青年に託す意味で青年層の行政パーソンと区民が一体となって課題解決への新たな価値を見出していくまさに「新しい台東区創出の場」を設けていく時ではないかと考えております。
奇しくも服部区長から所信表明の中で「台東区が50年後、100年後も、燦然と輝く都市でありつづけるためには、前例にとらわれない斬新な発想で優れた施策を展開し、山積する課題に積極果敢に挑戦していく必要があります。」と呼びかけられました。
そこでお伺いいたします。
確かな歴史と伝統に裏付けられた成熟都市台東区がどこよりも先駆的に女性・若者世代とともに多様性あふれる「躍進台東 新しい台東区」を構築発展させていくために(仮称)「ダイバーシティ台東の未来構築を担う青年会議」の設置を提案いたします。
区長のご所見をお伺いいたします。
<区長答弁>
ご質問の第三は青年層を中心とした会議体の設置についてです。
社会経済状況が変化する中で、本区が、将来にわたって輝く都市であり続けるためには、多様化するライフスタイルや価値観に、柔軟に対応しながら、行政と区民が協働して、区の未来を切りいていくことが重要です。
そのためには、議員ご提案の、次代を担う青年層を中心とした会議体を設置し、様々な視点から
検討を重ねることも有効な手段のひとつであると考えております。地域における区有施設の役割とニーズなどについて、様々な世代や立場にあるの声を聞き、区政に反映する手法を検討して参ります。
4、最後に地域包括ケアシステム構築実現に向けて伺います。
介護保険制度が施行された2000年当時、後期高齢者は約900万人、25年後は約2200万人との見込み。また、東京都では2010年当時、123,4万人。2025年には197,7万人との見込みで15年間で約74,3万人に増加すると見込まれています。
高齢化の課題は「高齢化率」ではなく、「高齢者の絶対数の増加」に着目していくべきです。その人数が医療、介護などのニーズに連動していくからであります。
住み慣れた地域で安心して自分らしく生活を続けることができるために医療・介護・予防・住まい・生活支援などの福祉サービスも含めた様々なサービスが日常生活の場で適切に提供される地域包括ケアシステムの構築を実現していかなければなりません。
厚労省は2025年を目途に地域の包括的な支援・サービスの提供体制の推進を示し、自主性に基づき、地域性に応じて作り上げていくことが重要であるとしています。
本区においては今回、組織改正について先日の区長所信表明で 改めて福祉部に「介護予防・地域支援課」が設置された旨、表明されました。区議会公明党として提案要望いたしました地域包括支援センターの機能強化を推し進めるために今回、「機能強化型地域包括支援センター」を庁内に設置することにつきましては高く評価いたしております。
しかしながら今後、2025年を目途に地域包括ケアシステムを構築していくためにはやはり、本区の状況、ニーズの分析のもと、全庁的に取り組まなければ、成しえない事業であります。行政はじめ、区内の医療機関、社会福祉協議会、社会福祉事業団、NPO法人などの連携構築と地域包括ケアシステム構築のために全庁的に地域資源、事業資源がどのくらいあるのかなどを把握し、課題を認識し、共有していく必要があります。
また、地域の皆様に「地域包括ケアシステム」についてご理解いただくことがポイントとなります。まさに地域ぐるみで、地域の皆様と連携し支えあう仕組みをつくっていかなければなりません。
そのためにも小さい単位での出前講座を連続して開催していくことで「地域包括ケアシステム」についてご理解いただきながら、受講者の中からも人材発掘のチャンスが生まれます。
昨年、私も「認知症サポーター」の講習を受講し、実際に街に出て声掛け訓練も実践いたしましたが、相手を尊重しながらも状況を把握していく対話はむずかしいものでありました。国では800万人の認知症サポーター養成を目標にしています。
昨年12月公明党会派として世田谷区の地域包括ケアシステムについて視察してまいりました。
ここでの画期的な視点を紹介いたします。
「誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる地域社会の実現」をめざして地域包括ケアシステムの対象を高齢者だけではなく、障がい者、子育て家庭、生きづらさを抱えた人、生活困窮者などと広く捉え、包括している点であります。
- 支える側も元気な高齢の皆様をはじめ、学生、働いている人、主婦、シニア世代など幅広い区民参加で進めている点。
- 公的サービスの基盤整備については、総合計画に基づいて個別計画を立て、医療と介護、福祉サービスなどが一体的に提供する仕組みづくりを進めている点。
- 公的サービスとともに地区の課題に対して、地域の活動団体などとの連携・協働による新たなサービスや基盤を創出する点。
などを計画に掲げています。
世田谷区では日常生活圏域ごとに出張所をまちづくりセンター拠点としてそこに社会福祉協議会からの相談員、地域包括支援センターこの三者が常駐し、連携し、福祉相談などに対応することでワンストップ相談が可能となっております。
今後、「地域包括ケアシステム」は高齢者だけが対象ではなく地域に暮らす人々の家庭生活そのものを多面的に包括していく必要性があります。実際、親の介護と子育てのダブルケアに直面しているご家庭。高齢の親御さんが引きこもりの40代50代の子どもの世話をしているご家庭。(また、私の知人で50歳のころ病気になり、娘さんが仕事を辞め当時、20歳位だったと思いますが、今もパートをしながら15年ほど介護を続けているご家庭もあります。)介護離職で親世代を見ている場合、親を看取った後の自身の生活をどう立て直していくかなど、決して高齢者対象だけでは解決できない複合的な問題が絡んでおります。この点からもぜひ、世田谷方式の複合的な「地域包括ケアシステム」を参考に進めていくことが区民の皆様に喜んで安心していただけるものと確信しております。
そこで区長に最重要課題と言っていただきましたまた、公明党としても1丁目1番地の「地域包括ケアシステム」構築実現に向けて3点にわたり、伺います。
1つは地域包括ケアシステム実現のための推進本部を庁内に設置し、総合的に取り組むべきではないか。
2つには「地域包括ケアシステム」などについて周知の意味で小さい単位での出前講座連続開催の実施について。
3つ目は複合的な課題に対応しやすい「地域包括ケアシステム」の構築について
3点について区長のご所見をお聞かせください。
<区長答弁>
ご質問の第四は、地域包括ケアシステムについてです。
まず、推進組織の設置についてです。
高齢者の方々が、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、医療、介護、生活支援などのサービスを一体的に提供する「地域包括ケアシステム」の構築は、区の重要課題のひとつです。
平成28年度は、新たに「介護予防・地域支援課」を設置し、関係所管を含め、全庁をあげて、具体的な仕組みづくりを進めて参ります。次に、本システムの周知についてです。
区では、「認知症サポーター養成」をはじめ、「見守りサポーター養成」や、新総合事業開始に伴う、制度の説明など、職員が出向いて、地域包括ケアシステムの周知の機会を作って参りました。
今後はさらに、「住民同士の支え合い」、「健康づくり」や「介護予防」など、地域包括ケアシステムを構築するための様々な講座を地域で実施し、
周知に努めて参ります。次に、複合的な課題への対応についてです。
高齢者とその家族を取り巻く問題は、複雑多様化しており、介護や子育てなど様々な問題を抱えていることは、私も認識しております。
議員のご提案については、組織のあり方や専門職の確保など、課題もありますので、今後研究して参ります。今後とも、私は、医療、介護、介護予防など、様々なサービスが日常生活の場で適切に提供される、台東区ならではの地域包括ケアシステムの実現に向けて、積極的に取り組んで参ります。
以上で 代表質問を終わります。ご清聴、ありがとうございました。