平成30年第1回定例会代表質問全文平成30年2月17日 寺田あきら


台東区議会公明党の寺田晃でございます。平成30年第1回定例会におきまして会派を代表して質問させて頂きますが、質問機会を頂きました会派の皆様に感謝申し上げ始めさせて頂きます。

台東区議会第18期、躍進台東、服部区長も誕生されて間もなく4年目を迎えようとしておりますが、これまで私共、台東区議会公明党区議団5人は一致団結して支えて参りました。具体的には、「自転車安全利用促進条例」の制定、区内小中学校体育館空調設備の整備、全国初の「観光バスに関する条例」の制定、更には「被災者生活再建支援システム」の導入などをはじめ、区民の命を守る様々な政策実現を下支えさせていただいたものと自負しております。私共は、これからも生活者目線で、地域密着型の政治を着実に進めて参ることをお誓い申し上げ質問に入らせていただきます。

はじめに人材への投資による区民が輝く地域社会の構築についてお伺いします。

本格的に少子高齢化社会、人口減少社会が進む中、子育て、福祉をはじめ各事業者の人材確保が大きな課題となる昨今、各自治体による適宜、適切な施策の実施が今後の動向を左右する分かれ道となっております。国では「働き方改革」や「生産性革命」「人づくり革命」が「人生100年時代」へ挑む突破口であり、日本の発展の中心政策とされております。台東区が今改めて目指すべきは、区民のお一人おひとりが自分らしく元気に生き生きと、かつ、張り合いを持ちながらお過ごしできる地域社会、また、全世代の区民の誰もが活躍し輝く地域社会を構築することと強く感じています。

さて、待機児童の解消は、社会で活躍する母親の働き方の環境、家庭生活を整え、かつ、幼児教育と保育の連携強化は待機児童解消の一助であると共に、子育て中の保護者が望む保育における教育の推進にも繋がります。小中学校での学力向上は自治体の至上命題でありますが、地域人材の活用や様々な教育手法の展開による学校の指導と事務体制の充実強化も早急に進めるべきと感じます。区民の本格的な生涯学習拠点の機能を兼ね備えた区立図書館を再整備し、高度化を進めると共に、中高一貫の区立中等教育学校の創設も新たな学びの殿堂になるものと存じます。再就職のための誰でも学び直しができる環境整備も人づくり革命の重要な視点です。時代の変化とともに必要とされる技術も仕事も変わり、それに応じた職業訓練やリカレント教育を行う事により活躍できる場も増え、新たな自分の発見と生きがいづくりに寄与します。団塊世代が75歳以上になる2025年を見据え、抜本的な対応が迫られる福祉人材の確保と定着対策でありますが、本区独自の政策を緊急に行うべきと強く感じております。事業者向けとしては中小企業の人材確保と伝統産業の後継者育成の支援をするべきと感じます。

更には、内閣府で新たな経済社会として提唱されている「ソサエティ5.0」でありますが、仮想のサイバー空間と現実のフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題解決を両立させ、希望の持てる社会、世代を超えて支え合い、一人一人が快適で活躍できる社会が構築できるといわれています。本区も、明日の経済社会へ向けて準備をし、AIとIoTを活用した介護環境の刷新や国際観光都市づくりといったような先進的な取り組みを展開し、国や都を「あッ」と驚かせれば、大きな支援も得られるものと期待します。

様々申し上げましたが、世界に冠たる上野、浅草を抱える台東区が益々輝き、世界の皆様の憧れとなり大勢のお客様をお迎えし、心の底からおもてなしが出来るような都市を創出するよう、働く方、働きたい方、学びたい方などあらゆる方へ光のあたる「人への投資」を力強く行うべきと考えます。

つきましては台東区に住んで良かった、来て学んで働いて良かったと、誰もが笑顔になれる地域社会の構築を目指していくべきと考えますが区長のご所見をお伺いします。

続きまして地域包括ケアシステムの強化についてお伺いします。

現在、第7期台東区高齢者保健福祉計画並びに台東区介護保険事業計画の策定が進められています。特に高齢者保健福祉計画では「地域包括ケアシステムの強化」に重点が置かれ、基本理念の大命題の一つ「住み慣れた地域でいきいきと安心して暮らし続けられるまち」の構築のため、「生きがいづくり」を施策の一つに加えながら支え合う共生社会を目指しおります。中でも大きな課題は認知症対策です。厚生労働省研究班の調査では2025年には65歳以上の5人に1人が認知症を発症すると推計されています。また、高齢になるにつれ割合の増加も予想され、80歳以上で四人に一人、85歳以上では二人に一人の割合の方が認知症になるともいわれています。

我が会派が予算要望でも提案させて頂きました、地域住民の代表も含めた地域ケア会議を地域包括支援センター単位に開催し、地域の課題やニーズ、社会資源の把握に努めると共に、更には区全域を検討対象として、同じく地域住民の代表も巻き込んで、健全な社会基盤整備や、地域づくり、資源開発さらに区の政策形成に及ぶ総合的な検討を行う地域ケア会議の開催も進めるべきと考えます。

富山県型デイサービスでは子どもたちによる高齢者施設の生活支援体験や、三重県の「おじゃまる広場」では高齢者や障害者による子育て支援など日常的に行われています。お子様にとりましたら高齢者や障害者と日常的に関わり合いながら健全な成長の糧となり、高齢者にとりましては子育て支援や介護支援などで新たな役割から健康増進や介護予防にも繋がり、障害者にとりましては活躍の場が自立や自己実現に繋がります。地域包括ケアシステムは地産地消のご当地名産づくりに似ているともいわれておりますが、本区ならではの特性を生かし、自助、互助、共助、公助、を視点に、特に、互いに、助け助けられる互助の力、区民の皆様のフル活躍による支え合いのまちづくりを第7期計画とともに構築するべきと考えます。また、この度の予算案にありました「認知症初期集中支援チーム」の設置や、「生活支援体制整備」等は新たに期待できる事業となるものと考えます。

今、介護の現場では、施設入所が早くなる「要介護5」の判定など重い介護度が進んだ認定に対して、身内の方や認定されたご自身も得てして喜ぶ帰来がありますがそれでよいのでしょうか。このような体の活動能力が悪くなることを喜ぶ現場の状況を大きくパラダイスシフト意識改革をし、大命題である住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるまち、困っておられる方を支えられる理想的な地域共生社会を必ず本区は構築できるものと実感いたします。

一方、地域包括ケアシステムの課題は他にも、高齢者の住まいであり、ソフト面では在宅中心の医療介護連携による夜間定時及び随時対応型サービスの提供であり、これらをどのように社会的費用としてまかなっていくかという財源問題にもつながります。

様々申し上げましたが改めてお伺いします。今後はどのように地域包括ケアシステムの強化をしていかれるとお考えか区長のご所見をお伺いします。

続きまして障害者施策の充実と人間性輝く人権施策についてお伺いします。

同じく、現在、第5期台東区障害福祉計画の策定が進められています。体系として四つの基本目標と十の重点課題が掲げられていますが肝となりますのが“心こそ大切なれ”であり「権利擁護の推進」と実感します。中でも「障害者差別解消法」は平成25年6月に制定、28年4月に施行され、制定されて4年8か月、施行されて間もなく2年目を迎えます。残念ながら施行後約半年後の区内在住で主に障害者の方1、100人を対象に行われた実態調査では、解消法の内容を知っている人は9.2%に留まりました。現在、担当所管では必死に周知、啓発に力を入れていますが、先日も事業者向け講習会が開催され参加させて頂きました。全体で46名の方が参加され、障害者の方が就労する「注文を間違える料理店」という人気店の紹介など当事者の方による実体験の熱いお話もあり充実した講習会となりました。益々期待を致しますが「障害者差別解消法」の認識が広まるほど、その他の重点課題も必ず解決へ向い対策も進むものと実感します。

ところで、2月8日現在127の自治体で制定されている「手話言語条例」は、手話の教育環境の整備や重度聴覚障害児である「ろう児」やその保護者が手話に関する正しい情報を得られ、手話を習得する事ができる社会、また聾啞者が日常生活や職場などで自由に手話を使ったコミュニケーションをとることができる社会が期待されることで今、全国で広がりつつある状況です。本区でも手話通訳者の養成も計画に取り上げられる中、実績に苦慮しており、こちらも合理的配慮の一翼を担う手立ての一つにするべきと考えます。

一方、奇しくも本年は「世界人権宣言」の採択70周年の佳節に当たります。その第一条「すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。」から始まる宣言をこの佳節に意義を再確認するべきと考えます。2年前の2016年9月国連で採択されたニューヨーク宣言では「難民や移民を悪魔呼ばわりする事は全人類に対する尊厳と平等の価値を心の底から損ねている」との排他主義に楔が打たれました。自分が所属する集団に、地域に、他国から、他の地域からいらした人を迎え入れることに不安や戸惑いは人の常でありますが、それが拡大し排他主義や引いてはヘイトスピーチになり、憎悪や敵意に変わると人権侵害になるとのことです。情報社会化が進む中、インターネットのサーチエンジンなどの学習機能によって、利用者が好ましいと思う情報ばかりが選択的に提示され、望まない情報から遠ざけられ、思想的に社会から孤立するさまを「フィルターバブル」と呼ばれ、物事が正しく判断できなくなると警告されております。人権教育はこのような無意識の壁を破り日々の行動や考えを振り返り軌道修正が行えます。特に青年はフィルターバブルに影響を受けやすい反面、人権教育で学んできた経験を周囲に発信する力を備えており偏見や差別を克服する輪を広げられる存在でもあります。核兵器禁止を求めるICANの主な活動家は20代30代の青年達とのことです。人権教育は立場や所属の違いを取り払いお一人おひとりの個性や長所の“人間性の光”を輝かせ発揮できる力を与えて頂けるものなのです。

一方、ネット上で新たな差別問題が生じその対策としても「部落差別解消推進法」が平成28年12月に成立、施行され“部落差別は決して許されない”との強い意志が示されました。本区では、人権尊重教育推進校として現在、小学校では5校、中学校では2校と推進をしてますが児童生徒は健やかに学んでおります。是非ともこの人権教育を青年層にも広げるべきと強く要望いたします。将来的には、人権擁護条例とか、人権擁護のまち宣言とか、実行計画、行動計画とかの制定も必要なのではと考えます。2020年オリンピックパラリンピックを2年後に控え、日本の文化を世界に発信するチャンスでもあり、本区の輝かしい未来に向けた新たなはじまりの年「江戸ルネッサンス元年」を標榜する本区は、人権教育の光を360度に放ち、全ての人、全ての区民が光り輝き、喜びを共有出来る地域共生社会を構築して参りたいと考えます。

そこで区長にお伺いします。今後はどのように障害者権利擁護施策の充実と人権施策を進めていかれるとお考えかご所見をお伺いします。

以上をもちまして、代表質問を終わらせていただきます。

ご清聴ありがとうございました。